重要なポイント:
- Carbonの硬質ポリウレタン材料・RPU 130により、自動車の厳しい材料要件を充足
- 射出成型による少量生産と比べ、14%のコストを削減
- オンサイトでの生産能力の拡大、少量生産案件を獲得し、Carbonを射出成型と並ぶ補完生産技術として活用
組立技術業界のグローバルリーダーとして大量生産に特化しているARaymondは、自動車部品の少量生産を行う上での、費用効果の重要性は理解していました。CarbonのDigital Light Synthesis™(DLS™)技術とエンジニアリンググレードの材料により、ARaymondは、独自のパイプホルダーファスナーを、少量にも関わらず費用効率よく生産できるようになりました。射出成型と比較して14%のコスト削減を達成し、他に真似できない新しい市場開拓の機会を得たのです。
ARaymondは、アセンブリシステムの設計やエンジニアリング、製造を事業としています。その一環として、ファスナーや液体用コネクタ、洗浄システムだけでなく、自動車のパワートレインやシャーシ、ボディ、電気とメカトロニクスアプリケーション向けの接合ソリューションを提供しています。複雑なアセンブリシステムに対応するARaymond独自のソリューションは、金型を不要とし、アセンブリラインの人間工学を改善、製造作業を効率化し、ユーザビリティを促進しました。またARaymondは、世界中の製造拠点でISO14001を取得しており、自動車部品工場に関しては、IATF 16949を取得しています。
課題:自動車業界における少量生産の非経済性を克服する
ARaymondは、シャーシ内のM10スタッドに取り付ける、ケーブルを再配線する際に非常に重要なパイプホルダーファスナーの少量生産の依頼を受けました。パイプホルダーは、2本のチューブを固定し適切な距離を保ち、ねじれから保護するもので年間11,000個しか生産されません。主流の自動車部品と比べ、極めて少量になります。
新しいOEM企業が市場に現れるにつれ、少量生産の依頼は以前より頻繁に発生していますが、費用効率の高い製造ソリューションとしては従来の金型成形技術では不十分なままです。この観点から、あらゆる生産規模の顧客要求に迅速かつ競争力をもって対応することは、必要不可欠です。
エンジニアリンググレードの材料が使用できる柔軟な製造ソリューションを求めて、この少量生産の機会を実現すべく、ARaymondはCarbonを訪れました。
「金型やプレス、床面積への投資が必要ないことから、CarbonのDigital Light Synthesis™技術のおかげでARaymondは成長するモビリティ市場に参入することができました。」
Dan Dolan
ARaymond Automotive North America
社長兼CEO
ソリューション:自動車部品の要求を満たすエンジニアリンググレードのプリンタ用材料
ARaymondは、ナイロンやポリプロピレン等のフィラーなし熱可塑性樹脂に匹敵する、機械・化学特性を持つ3Dプリンタ用材料を必要としていました。そして、その強度と靭性、耐熱性から、自動車部品の要求条件を完全に満たすことが証明されたCarbonの硬質ポリウレタン(RPU130)と出会ったのです。
コストのかからない自動車部品の設計改良によって、より良い結果を実現
ARaymondは、射出成型による抜き勾配や型締め、型流れ等の典型的な設計上の制約に直面してきました。一方で、Carbonの技術により、ARaymondは、簡単かつ迅速に、デザイン改良を実行しました。従来の製造プロセスと比べ、積層技術によってもたらされる設計上の自由度が向上していたのです。スタッドに取り付けられた標準的なチューブクリップのデザインを変更することにより、ARaymondは、CarbonのDLS™技術仕様に部品を最適化し、造形時間と材料使用量の両方で高効率化を実現しました。
まとめ:金型不要のコスト削減、そして、新しい市場への参入機会
ARaymondは、Carbonを活用することにより、金型不要な投資オプションを、非常に競争力のある価格で顧客に提供することができました。金型によるアプローチと比較すると、製造コストは最大14%まで削減されています。結論として、CarbonはARaymondとその顧客双方に、従来のサプライヤーがサービスを提供するだけでは参入できない、自動車市場の新規案件獲得に向けた自信を与えました。
ARaymondは、CarbonのDLS™技術と材料の活用継続によって少量生産でのソリューション提供を拡大するとともに、Carbonを大量生産用の成形技術と並ぶ必要不可欠な補完技術として考えています。パイプホルダーに続き、現在ARaymondは、Carbonを使用した2件の自動車向け開発テーマを進めています。