金型成形不可能なデザインとユニークなテクスチャを量産へ

FinMan Fishing Innovationsは、Carbonのプロダクションネットワーク認定メンバーであるGallagher Corporationと協力し、スイス・アーミーナイフのような多機能釣り具FinManを開発しました。本記事では、Gallagherを通してCarbonのDigital Light Synthesis™(DLS™)技術を利用することにより、FinManがどのようにして困難な機械的要件を満たし、以前は成形不可能であったデザインを量産へ持ち込むことができたのかをご紹介いたします。

 

 

デザインの複雑さ+材料の要件

図1:RPU 70で作られたFinManは、魚の鱗に似たユニークな表面テクスチャで、握りやすさを向上します。

FinManは、精密な形状、アンダーカット、スルーホール、表面テクスチャ等、複雑なボディデザインを備えています(図1)。また、柔軟性を備えながらも、要求の多い使用状況に耐えられる程、十分に頑丈な素材で作られている必要がありました。

射出成型を製造方法として検討されていたFinManは、部品の再設計と簡素化を要求されました。ただし、要求された変更は、FinManの構造と機能を損ないかねないものでした。代わりに、Carbonのプロダクションネットワーク認定メンバーであるGallagher Corporationに依頼し、成形不可能なデザインの新たな製造方法を見出し、製品の持つ優れた機能性と魅力的な美しい形状を維持することができました。

何故Carbonなのか

Gallagherは、複雑形状、厳しい精度、表面テクスチャというFinManが望むボディデザインを製造するための性能を持つ、CarbonのDLS™技術に目をつけました。さらに、硬質ポリウレタンであるCarbonの材料・RPU 70は、強度、靭性、柔軟性というFinManの材料要件を満たしていました。Gallagherの設計支援により、FinManは魚の鱗に似た機能的な表面テクスチャを製品に付与し、握りやすさを向上させることができました。

Carbonは、エンジニアリンググレードの材料と、均一な機械的特性、精密な精度、優れた表面仕上げを備えた部品を製造できる性能を持つため、Gallagherにとって試作だけでなく生産方法としても機能しました。同様に、Carbon DLS™技術のスピードも重要であり、その速度はFinManが設計から試作、生産へと迅速に移行することを可能にしました。

 

 

「Gallagherと共に、数週間で複数の試作を繰り返すことができました。射出成型等の従来の製造方法ではとてもできなかったことです。さらにGallagherは、私のアグレッシブな生産スケジュールにも低価格で応えてくれました。」

Gage Cutler
FinMan Fishing Innovations 創設者

 

成果

使用時の多機能釣り具・FinMan。

最終成果は、FinManそのものでした。はさみ、ニッパー、ナイフの機能を、安全で使いやすいツールとして組み合わせた画期的な釣り糸管理用釣り具は、釣り業界における「スイス・アーミーナイフ」と呼ばれています(図2)。FinManは、釣り竿に取り付けるか、ストラップにクリップで留めることができるため、釣り人はタックルをスライスやカットし、収納することができます。また、複数の道具に手を伸ばさずに、ルアーを変更したり釣り糸を切ったりすることができるようになりました

まとめ

Gallagherと共にFinManは、従来の製造方法では不可能であったこの複雑形状を簡単に生産することができました。さらにFinManは、CarbonのDLS™技術のスピードと生産能力により、Gallagherと協力し、製品を量産化することができました。現在、カットラー氏は、Carbonで可能となった迅速な設計変更の機会を通じて、FinManをスピーディに改良することが可能となっています。

 

「生産にCarbonを使用する利点は、迅速な変更で顧客からのフィードバックに動的に対応できることです。もはや金型はいりません。私が、射出成型で感じていた先行投資や長いリードタイムに捕らわれることはないのです。」

Gage Cutler
FinMan Fishing Innovations 創設者