重要なポイント
- Send-Nodsは、欧州のタクティカルヘルメットの快適性と保護性能を向上させるため、CarbonのプロダクションパートナーであるrpmでのSend Impact AirPadシステムの設計・開発・生産に、CarbonのDigital Light Synthesis™(Carbon DLS™)3Dプリントプロセスを採用しました。
- rpm は、5 年間にわたるラティス開発の経験と、少量生産に重点を置く企業姿勢を活かし、製品の発売まで迅速なペースを維持しながら、最終製品としてのコスト要求を満たしました。
- CarbonのDesign Engine Pro™ソフトウェアにより、重量のあるヘルメットの高い圧縮率という特定の機械的要求を満たしながら、ラティス構造の設計を通して快適なクッション層と通気性を維持する、調整可能なラティスの生産を可能としました。
- CarbonのEPU 43という材料は、激しいコンディションでの継続的な着用時に快適感を提供しながら、振動吸収性と耐久性の要件を満たしました。
イントロダクション
ミリタリーギアの会社であるSend-Nodsは、従来のタクティカルヘルメットを改良するため、快適性と保護性能を最適化するラティスパッドを導入しようとしました。同様のヘルメット・ソリューションを達成するために、米国市場でCarbonのDLS 3Dプリンティング・プロセスを使用されたものを見たSend-Nodsは、AirPadシステムの設計、開発、製造を行うために、Carbonプロダクションパートナー(CPN)であるrpmとのコラボレーションを選択しました。
AirPadシステムは、9つの個別のラティスパッドで構成されるアクセサリーヘルメットパッドシステムです。標準的な発泡フォームパッドの代替となり通気性を導入することで、タクティカルヘルメットの快適性を向上させています。初期にローンチされたデザインは、聴覚保護や暗視、カウンターウェイト、ポジションライト等、戦場の兵士向けに追加コンポーネントを搭載した、より重装備のバリスティックヘルメットに最適です。
標準的な発泡フォームは、コンポーネントの重量で潰れることで反応し、もはや振動吸収を提供しません。重量の課題に加え、発泡フォームのヘルメットパッドは熱を閉じ込め、兵士にとって不快感を与えます。ラティスパッドを搭載したヘルメットの利点は広く認知されていることから、Send-NodsはEUのヘルメットサイズと規制に特化したAirPadシステムを開発するというインスピレーションを受けました。そして、ドイツを拠点とするrpmとの提携により、Send-Nodsはその革新的な製品に係る工程の全てをEU内で設計・生産することができました。
材料と部品の要件
Send-Nodsは、AirPadシステムの要件を以下のように定義しました:
- 手触りの良い振動吸収素材
- ラティス化されたセルデザイン
- ユーザーのための高い通気性
- 快適性とパフォーマンスの向上
- EU内での生産
従来、これらのヘルメットパッドシステムは、通気性が制限され、重量に対して直線的な反応を示す標準的な発泡フォームで製造されていました。
ソリューション
Send-Nodsは、明確に定義された製品設計と、重量に対する機械的性能要件を理解した上で、最適なパートナーと生産用プラットフォーム探しに着手しました。
適切なパートナーを見つける
Send-Nods は、rpm との提携を決定する前に、いくつかの CPN の候補を検討しました。rpm は、当初からプロジェクトを素早く理解し、成功する製品を生み出すための技術基準を絞り込む手助けを行いました。rpmは、事前評価に向け、EPU 43とEPU 45の材料を使用した試作段階を開始し、主要な機械的特性を選定しました。この第一段階のスピードと有効性により、Send-Nodsはrpmと共に設計、開発、生産を進める自信を得ました。
材料
Send-Nodsは最終的に、AirPadシステムの製造にCarbonの材料・EPU 43を選択しました。EPU 43は、エネルギー吸収性を持つ、柔らかく耐久性のある材料です。この材料は、連続的な毎日の使用において、高い衝撃吸収性と頭部や皮膚への快適性という適切なバランスを提供しました。
クッション性と性能のためのラティス設計
兵士にとってより快適なヘルメットを作るために、Send-Nodsは、他の機能的なアクセサリーを頭上で快適に浮遊させるために、継続的な高負荷下でも優れた性能を発揮する通気性のあるデザインを要求しました。
rpmはCarbon Design Engine Pro™ソフトウエアを活用し、圧縮深さの要件を満たす様々なセルタイプとストラット直径を持つマルチゾーンに渡るラティスを生成しました。ラティスの設計は、荷重下で対になる性能を持つよう、様々なパッドサイズでテストされながら最適化されました。マルチゾーン・アプローチの設計により、衝撃保護層と快適なクッション層の間のスムーズなグラデーションが実現されました。
rpmは、Design Engine Proのメカニカル・シミュレーション機能を活用し、パフォーマンスの予測と各開発サイクルの早期化を支援しました。Carbonのプラットフォーム内で設計とプリントを行うことで、rpmは設計改良を迅速に行いテストすることができました。最終製品は、兵士の快適なクッション性を維持するため、想定される最大重量の荷重下で、最大50%圧縮されるように調整されています。また、ラティス構造の生来のデザインは、通気性を高めるために空気の流れを増加させました。
市場投入までの時間短縮
rpmは、試作品を使用した兵士による数回の実地試験を含め、2ヶ月の間に5回の設計改良を行うことができました。各段階には、明確な設計上の目標とラティスパッドの機能性能要件がありました。そして、各実地試験の度に、次の段階に向けた新たな要件が定義されました。
試作品の設計が出来上がると、製品の定義された圧縮目標に適合しているかを確認するために、機械試験が行われました。その後、性能と機能上の制限を判断するため、実地試験が行われました。最初の試作品はドイツでテストされ、シリーズ発売前の最終セットはドイツ、フランス、イタリア、チェコ共和国の兵士によってテストされました。
製品発表の時点では、欧州のタクティカルヘルメット市場には同等の製品がなかったため、Send-Nodsにとって市場初として市場投入するチャンスでした。
「材料からデザインソフトウェア、信頼性の高い高速マシンに至るまで、Carbonのプラットフォームが持つ経験と品質を活用することで、この新製品を非常に短期間で発売することができました。機械的性能と見た目の美しさに対する私の要求を実現するためには、rpmに頼ることができました。現在、AirPadsはここヨーロッパで入手可能ですが、高負荷下でも性能を犠牲にすることなくヘルメットの通気性と感触を改善することで、兵士や警備員のヘルメットでの経験を向上させることができました。そして私は、革新のペースを維持するという、Carbonとrpmの両方の豊富な知識から恩恵を受けました。」
TIM PAUSCH
Send-Nods Nightvision 所有者
結果
rpm とCarbonプラットフォームとの緊密な連携により、Send-Nods は、欧州の兵士向けに世界で初めてのラティスヘルメットパディングシステムを市場に投入することができました。rpm は、製品目標、機械的性能要件、ビジネス目標を明確に定義した上で、Send-Nods と協力し、開発の初期段階から成功が確約された製品を設計できました。数ヶ月という短い期間で、Send-Nodsは販売に問題のない継続可能な製品を確保し、次の開発製品も視野に入れることができたのです。
「Send-Nodsのように、製品の技術的目標とビジネス目標を明確にして私たちにアプローチしてくれる顧客と仕事をすることで、製品シリーズの検証プロセスを非常に迅速に進めることができました。この技術に5年間取り組んできた結果、ラティス製品の製品開発サイクルが合理化されました。今回はEPU43を使用した最初のシリーズでしたが、新素材の開発スピードを上げるためにCarbonを頼りにすることもできました。機械・材料・ソフトウェアの組み合わせは、アディティブ・マニュファクチャリングによる連続生産への最短ルートであり続けています。」
BRIAN CROTTY
rpm rapid product manufacturing GmbH 事業開発責任者
3D AS IT’S MEANT TO BE
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