イントロダクション
Selle Italiaは、イタリアのヴェニス郊外に本社を置くサドルメーカーです。100年以上の歴史を持つ同社は、イノベーションを取り入れることに定評があり、同社のブランドであるSelle ItaliaとSelle San Marcoのためにハイテクサドルを作りたいと考えていました。
他のサドルメーカーも3Dプリンティングを導入している中、Selle Italiaは自社の製品を差別化したいと考え、特別なものを開発するために、近くのCarbonパートナーであるPrototekに依頼をしました。
この関係と製品ラインはすぐに本格化し、Carbonのプラットフォームでプリントされたいくつかの特徴的なサドルを生み出しました。
材料と部品の要件
Selle Italiaは、サドルを次のレベルに引き上げたいと考え、そのためにアディティブ・マニュファクチャリングを活用することにしました。ロードサイクリングとレースにおける長年の経験、そしてサドルのエンジニアリング経験により、同社は新しくエキサイティングなものを開発する絶好のポジションにありました。
エリートサイクリストが求める最高レベルのパフォーマンスを満たすため、Selle Italiaはライダーをサポートするだけでなく、通気性があり、最終的に今まで以上に快適な乗り心地を提供する素材を探していました:
- パフォーマンスと快適性を最適化するために、サドル空間に複数のゾーンを設けること
- 柔らかくグリップ性に優れたエネルギーリターン性エラストマー材料
- 高い通気性
- ライダーの快適性の向上
- 難しい形状のプリントが容易であること
ソリューション
適切なパートナーを見つける
Selle Italiaは、自社でプリンタの量産ラインを導入することに興味がなかったため、サドルの実際のデザインと製品開発、そして生産までの道のりをサポートできるパートナーを探しました。現地での選択肢を検討した結果、Selle ItaliaはCarbonのプロダクション・ネットワークのメンバーであるPrototekとの提携を選定しました。Prototekのデザインに関する専門知識とデジタルファクトリーは、Selle ItaliaのクラシックサドルであるSelle Italia SLR BoostとSelle San Marco Shortfit 2.0のデザインのアップデートをPrototekと行おうと決断するきっかけをSelle Italiaに与えました。
最適なプリントプラットフォームの特定
Prototekは、Selle ItaliaがSLRブーストとショートフィット2.0サドルの生産にCarbonプラットフォームを活用するよう提案しました。Carbonのプリント技術は、Selle ItaliaとSelle San Marcoが考えていたユニークなデザインスペースを簡単にプリントすることができ、最終製品用の材料はサドルの用途に適していたからです。Prototekは、Carbonを使うことで、Selle Italiaが他の方法では実現できなかったことを実現できると考えていました。
Prototekが提案したCarbonのEPU 41は、耐久性に優れ、エラストマー性が高く、ライダーにクッション性とグリップ性を提供するエネルギーリターン系の材料でした。この材料はまた、通気性に優れ、ライダーが全体的により良いライディングを楽しめるよう、さまざまな力学応答に合わせて精密に調整できるマルチゾーンのラティスデザインにも適していました。
Selle ItaliaとPrototekが協業を開始した当初、PrototekはM2プリンタを1台導入していました。プレミアムラティスの生産は十分に可能ですが、M2のビルドプラットフォームのサイズはサドルの生産には限界があります。しかしPrototekは、サドルを2つのピースに分けてプリントし、そのうち1つはSelle Italiaでのテスト用に組み立てる方法を巧みに考案し、これが上手くいく名案となりました!M2を使用した試作の成功は、Selle Italiaに可能性を示し、生産ではより大きなL1プリンタのCarbonプラットフォームに移行しました。これにより、1つのサドルを一体でプリントできるようになりました。
「Selle Italiaのようなトップブランドのプロジェクトに携われるのは、いつになっても嬉しいことです。彼らはトップレベルの標準を持っていますが、Carbonのテクノロジーと材料を使うことで、彼らの目標を達成し、彼らが求めていたものを提供することができました。」
ANDREA BARCHI
Prototek プロトタイピング&3D生産事業部長
製品の拡大そして成長
2023年の夏の時点で、Selle Italiaは3Dプリンタ製モデルが顧客から非常に好評を得て軌道に乗り、このテクノロジー、特にCarbonのDigital Light Synthesis™(Carbon DLS™)が市場におけるサドルの差別化に不可欠であると確信しました。同社は、3Dプリンタ製品ラインを拡大し、2つのブランドでパフォーマンス・サイクリング、コンフォート・サイクリング、トライアスロン用の合計4製品のサドルをラインナップに加えました:
- Selle Italia Watt 3D
- Selle Italia SLR Boost 3D
- Selle Italia Novus Boost Evo 3D
- Selle San Marco Shortfit 2.0 3D
結果
3Dプリンタ製サドルの発表により、Selle Italiaは、ハイエンド製品を好むテクノロジーに精通した顧客からの関心が急激に高まっていること、そして消費者がこのライディング体験を楽しんでいることを目の当たりにしました。2024年、Selle Italiaのレーシングサドルは、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ラ・ブエルタ・ア・エスパーニャに出場する選手とともに、プロのサーキットを回り始めています。
「私たちは常に、最も要求の厳しいサイクリストのニーズを満たすために製品を開発し、彼らの快適性を向上させ、バイクでのパフォーマンスを高めようとしています。そのためにも、CarbonやPrototekのようなハイレベルなパートナーと3Dサドルのプロジェクトを信頼し、常に協力し合うことで、サイクリングにおけるイノベーションのレベルを高めることができると強く信じています。」
ANDREA BUZZAVO
Selle Italia Srl 総括部長
Prototekと生産を開始して以来、5つの製品ライン全体で15,000個以上のサドルがプリントされました。これは、お客様の需要だけでなく、Selle Italiaの革新性とPrototekのデザインと生産に関する専門性の証でもあります。
これらのトピックについてより詳しくお知りになりたい方は、japan@carbon3d.com、または既存のお客様については、アカウントマネージャーまでご連絡ください。